2025夏@北飯豊・頼母木TIME[3]

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at 5:05 a.m. on August 24, 2025@頼母木小屋



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さて、今日は前日とは反対の稜線をたどり、朳差(えぶりさし)岳を目指すとしましょう。

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朝の光に照らされ、心地よい道に見えますが、実際にはクマザサに付いた朝露をたっぷり食らい、足元はずぶ濡れです。

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それでも一気呵成に進み、2日前にグロッキー状態で倒れていた大石山を過ぎると、朳差岳が正面奥に見通せました。

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一度大きく鞍部まで下り、まずは手前の鉾立峰へ挑みます。

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で、この登りですが、標高差が150m近くあり、しかもかなりの急傾斜なので気を抜けません。

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それでもどうにか鉾立峰にたどり着きましたが、なぜか妻の表情が冴えません。

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「さっきまで晴れていたのに、朳差岳の山頂だけ急にガスってきちゃった…」と残念そうです。
夏山なので雲がかかることは覚悟していましたが、思っていたより早くガスってしまいました。

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それはそれとして、鉾立峰から朳差岳までの登山道脇には多くの高山植物がお待ちかねでした。
こちらはタカネナデシコですかね。

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ハクサンシャジンはあちらこちらで鈴なりでした。

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小さくてかわいい花はミヤマコゴメグサとか。

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おなじみハクサンフウロもたくさん見かけました。

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さあ、朳差岳が近づいてきましたよ。

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ハクサンシャジンは濃い紫色からこんな白色まで、色の違いも楽しめました。

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で、すでに前日の登山者が出払って無人の朳差小屋脇をスタスタ。

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視界イマイチですが、とりあえず朳差岳(1636m)に到着です。

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忘れないうちに三角点タッチをペタペタ。

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ひと休みしたら、すぐには戻らずさらに先へ進んでみましょう。

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山頂から10分足らずで、長者平と名付けられた池塘群が現れ、妻が歓声を上げています。
 ◇◇◇
実は鉾立峰へ登る途中、反対側から下ってきた朳差小屋泊の地元男性と立ち話になり、
行程を尋ねられたので、我々は朳差往復のみで今日も頼母木小屋でテン泊と伝えたところ、
「そんなに余裕があるのなら、山頂の先の長者平に行くといいよ」と教わった次第です。

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ちょうど青空も広がり始め、「運がいいね」と妻は大はしゃぎです。

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決してメチャクチャ広い池塘群ではありませんが、我々以外誰もいないこともあり、
まさに山上の別天地といった趣きでして、教えてくれた地元男性に感謝感謝です。

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しばらくウロウロし、ひとしきり長者平TIMEを満喫したので、そろそろ戻るとしましょう。

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先ほどガスっていた朳差岳も、今では青空が見えています。

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山頂から見下ろした朳差小屋も絵になりますね。

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花期はとっくに過ぎたはずのハクサンイチゲの咲き残りに見送られながら、朳差岳を後にしました。

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で、アップダウンを繰り返しながら、昼前にはガスガスの頼母木小屋へ戻ってきました。
 ◇◇◇
前日は土曜日だったこともあり、避難小屋泊を含めて約20名の登山者で賑わっていましたが、
テン泊の方々も含めて全員いなくなり、ソロの日帰り登山者が休憩しているだけでした。

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僕はポツンと残っていたヌプカ2に駆け寄り、留守番係のおにやんま君に帰還の報告なんぞを。

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汗だくの面々を着替えてさっぱりしたら、すかさず昼飯のうどん(お揚げは大奮発の2枚!)をグツグツ。

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デザートは、朝から頼母木水で冷やしておいたフルーツがお待ちかねです。

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食べ終えてクッカーを片づけていると、トンボが拙箸にとまってひと休みしていました(笑)
 ◇◇◇
トンボたちのおかげで、飯豊名物(?)のアブやブヨの数は少なかったみたいですが、
それでも妻はふくらはぎを中心に何ヶ所か刺されたようで、ずいぶんかゆがっておりました。

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ところで管理人室の脇に貼られた料金表ですが、「お裾分け品」とあるのがずっと気になっており、
当番交替で先ほど足の松尾根を登ってきた小屋番のイナバさんに理由を尋ねたところ、
本来は酒を販売する許可だか免許だかがないので、便宜上「お裾分け」としているのだそう。
 ◇◇◇
「ここは国立公園内でテント泊も原則ダメなんだけど、大目に見てもらっているんです」とか。
なるほど、近くの朝日連峰がテン泊全面禁止なのも、そのあたりに理由がありそうですが、
酒類販売やテン泊なんかは堅いこと言わず、今後も大目に見てもらえればと思う次第であります。

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てなワケでお裾分け品をありがたくお裾分けいただき、今日も昼ビーTIMEを楽しんじゃいましょうか。

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購入…じゃなくてお裾分けいただいた缶も要持ち帰りなので、持参分と一緒に小屋のハンマーを借りてグシャ。

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歩き疲れたのか飲み疲れたのか、妻はテントに転がり込み、そのまま至福のお昼寝中です。

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この日は我々以外ソロテント3張り、小屋泊1名と、前日のにぎわいから一転して静かな雰囲気に。
あいにく雲が消えてくれず、眺望がないままなので、皆さん手持無沙汰のようでした。
 ◇◇◇
ちなみに頼母木小屋周辺は携帯の電波がバリバリ入り、それはそれでありがたい反面、
面倒な電話がかかってきたりして、それはそれで厄介でありました(なかなか難しいモンダイですね)

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やることもなく、ぼんやり過ごしていると、先ほど着いたばかりのテン泊登山者が、
ザックから大事そうに取り出したジップロックの中身を頼母木水にドボン。
 ◇◇◇
偶然、その様子を見ていた僕が「えっ、今のは桃じゃないんですか?」と訊いたところ、
「どうしても冷えた桃を食べたくて持ってきちゃいました」と恥ずかしそうでした。

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さて、妻も昼寝から目覚めたようなので、そろそろ最後の夕餉の準備と参りましょう。

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今日も僕は作る人で、ハンバーグとか鶏肉をジュウジュウしてみました。

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食後は生ハムやらいぶりがっこチーズやら、最後まで残しておいた、とっておきのつまみも登場です。

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テントで焼酎やウイスキーをチビチビ飲んでいると、いつしか雲が消えかかり、地神山も見えてきました。

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まったく見えなかった朳差岳も雲の合間から再びお出ましです。

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イナバさんも外へ出てきて、立派な双眼鏡で朳差小屋の様子をうかがっています。
訊けば、朳差小屋のある関川村の方だそうで、手弁当で朳差小屋の管理もしながら、
胎内市の登山愛好家のメンバーにも加わり、頼母木小屋の小屋番もしているとか。
 ◇◇◇
同じく胎内市が管轄する門内小屋の小屋番をするときもあるとのことなので、
前日の経緯を伝えたうえで、「ギルダの池付近にクマは出ますかね」と尋ねたところ、
「出るよ、出る」だって。うむむ、あの大きなうなり声はやっぱり…。
加えて「明日下る足の松尾根付近にもいるから、気をつけて」と忠告されました。

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なんて会話をしているうちに、稜線付近の雲は消え去り、夕日があたりを染めていきます。

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イナバさんが「おっ、ブロッケンが出てる」と教えてくれたので、パチパチしましたが、
肉眼でうっすら見えた程度で、写真に収めることはできませんでした。

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にしても、山の上ならではの得がたい時間が心底ありがたい限りでして。

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んでもって、そのまま星空撮影に突入です(このときだけは広角レンズが欲しかった…)
 ◇◇◇
今回、ミニ三脚&ケーブルレリーズでトライしてみましたが、
ミニ三脚ゆえ風で微妙に動いたり、ケーブルレリーズの振動が伝わったりと、
なかなかうまく撮れず、長時間露光で苦労したわりに出来はイマイチでした。


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at 4:30 a.m. on August 25, 2025@頼母木小屋

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見事なマジックアワーのさなか、眼下には雄大な滝雲まで。

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思い残すことのないよう、お世話になった頼母木水も最後にたっぷり飲んでいきましょう。

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で、テン泊の終わりを告げる恒例のバサバサ儀式で撤収完了です。

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「居心地がよすぎて、1週間ぐらいテン泊でも大丈夫そうだね」とか言いながら、下山開始です。

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では、正面にどっしりと立ちはだかる二王子岳を見据えながら足の松尾根を下っていきましょう。

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難所は後ろ向きに下っていきますが、これはこれで神経を遣います。

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途中、前を歩く妻が登山道でとぐろを巻いていたグロテスクな毒ヘビもどきに気づかず、
ポールをヘビに突き刺してしまい、ギャーギャー大騒ぎするなどハプニングもありましたが、
猛暑のなか、お互い激汗を滴らせながら、大きなけがをすることもなく登山口に到着です。

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といってもまだまだ油断はできず、灼熱の林道歩きが待っているので、黙々と歩くのみです。

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あたかも修行僧のような気分でしたが、ようやくBAN-BAN号の待つ駐車場にたどり着きました。
 ◇◇◇
この夏は前半の高天原、後半の飯豊と、ずっと行きそびれていた地を訪問できたこともあり、
なかなか充実した夏山JOYになったんじゃないかなと、振り返りながらしみじみしている次第です。
 ◇◇◇
ついでながら、本日をもって僕は61歳に。
「次に飯豊へ行くとしても、さすがにデカザックはもういいかな」と思うお年頃でありまして(>_<)
by nandakadays | 2025-09-05 09:05 | TREKKING | Comments(2)
Commented by pallet-sorairo at 2025-09-05 11:46
素敵な飯豊の山旅、堪能させていただきました。
ご夫婦お二人でこんな旅ができるのがとても羨ましいです。
で、私が飯豊へ行ったとき(30年前)にはテン泊禁止だったと思うのだけれど
今はテン泊できるようになったのかなぁと思ってましたが
そう言うことだったのですね♪ よきよき(^^ゞ
Commented by nandakadays at 2025-09-05 21:50
冗長なレポにもかかわらず、ご笑覧いただきありがとうございます。
そうでしたか。かつては飯豊も朝日連峰同様、テン泊禁止だったのですね。
どういう経緯で大目に見てもらえることになったのか、ちょっと気になりましたが、
大目に見てもらえたおかげで、至福の頼母木TIMEを満喫でき、満足満足です♪
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