朗報

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北海道大学出版会のI嬢からウレシイおしらせが舞い込みました。




 ◆◆◆
僕が原稿整理・割付指示・校正を担当し、今年の3月末に刊行された翻訳書『チェコの伝説と歴史』が、
なんと第48回日本翻訳文化賞をいただいたとのこと。
これは日本翻訳家協会の主催により、過去1年間に最も優れた翻訳書を刊行した翻訳者に贈られる賞で、
ちなみに前年の受賞者は、今をときめく柴田元幸氏!
もちろん僕が受賞したワケではありませんが、なんとも光栄であります。
 ◇◇◇
実はこの翻訳書の原稿を受け取ったのが昨年11月半ばのこと。
A5判で600頁に迫る大部にしては、異例ともいえる遅いスタートでした。
で、横組みの元原稿を縦組みに指定するだけでも、かなりの手間だったのですが、
加えて註釈と挿絵の多いこと多いこと…天を仰いでため息をつくヒマすらありません。
それでも翻訳の浦井康男先生が北海道大学文学部を停年で退官する2011年3月末日までに、
どうしても出版にこぎ着けなければならないという無慈悲な至上命令があったものなので、
原稿整理にヒーヒー言いつつ、片やIllustratorを用いて挿絵の縮小率や割付を決めていくなど、
とにかく、しっちゃかめっちゃかな独りてんてこ舞いの日々を過ごすことになりました。
 ◇◇◇
このときの校正紙は、本年2月の拙ブログにもチラリと登場しますが、
2月18日時点でチンタラ校正しているようでは、3月末刊行はすでに黄信号のようなモンです。
「やることはやったが、こりゃ、どう考えても間に合いそうにないな」と半ば諦め気分でおりましたが、
I嬢の驚異的な執念により、どうにかこうにか刊行と相成った次第であります。
 ◇◇◇
校正のやりとりはすべて郵送で、僕が最後の校正紙を超速便でどさっと送ったのが3月上旬。
もし数日遅れていたら、震災に伴う東京・札幌間での郵便&宅配便全面ストップの煽りを受けて、
年度末に間に合うことはなかったでしょう。その意味でも本当の滑り込みセーフでした。
 ◇◇◇
ちなみに僕は翻訳の浦井先生とは一面識もなく、本書のどこにも僕の名はありません。
この稼業、ま、こんなモンです。
ただ、今回の作品については、浦井先生の次くらいは読み込んだだろうなという自負があるので、
ともあれ受賞を心より喜んでいる次第です。

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『チェコの伝説と歴史』
  アロイス・イラーセク 著 浦井康男 訳・註解
  A5判/上製本/580頁/本体価格9000円/
  北海道大学出版会(札幌)
  ISBN978-4-8329-6753-3


by nandakadays | 2011-10-16 08:00 | NANDAKA | Comments(4)
Commented by masashiw2 at 2011-10-16 08:53
こちらもおめでとうございます。
黒子の矜持がじんじん伝わってきて、励まされました。
Commented by nandakadays at 2011-10-16 10:05
ありがとうございます。
実際のところ、かなり無茶ぶりな案件ではありましたが、
こうして評価され、今回は素直に喜んでおります。
Commented at 2011-11-04 06:58
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nandakadays at 2011-11-04 10:20
お目にかかったことのない先生自らご連絡を頂戴し、なんともお恥ずかしい限りです。
今まで出版会で携わったなかでは、最も厳しい条件でしたので、
個人的には校正や割付等に関して、忸怩たる思いが残っておりましたが、
思いがけない報告を受け、本書に関わった末席の一人として、心より喜んでおります。
最後になりますが、このたびの受賞おめでとうございました。
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