深山幽谷湯[2]

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清津川畔に点在する露天風呂の脇を通り抜け、宿の入口で呼びかけるものの、人の気配はなく…。



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そういえば露天風呂の近くに人影があったのを思い出し、戻って声をかけてみたところ、
「すみません。オヤジがいるはずなんだけど、昼寝しちゃったのかな」
と頭をかきながら息子さん(推定年齢20代後半)が登場。
「えっと、2泊されるということは、明日は苗場山往復ですか?」
「いえいえ、どこにも行かないんですけど」
「あっ、そうなんですか…」
「気ままに温泉に浸かりながらウダウダしてますので、ま、お気遣いなく」
きっと初訪問にもかかわらず、山にも登らず連泊する輩も珍しいのだろうと想像しつつ、
山小屋風情ながらも、清潔でこざっぱりとした部屋に通されるや、すかさず湯支度をいそいそ。

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お目当ての温泉はいずれも露天で、3ヶ所に分かれています。

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すぐ脇には、屋外にもかかわらず、温泉分析書および別表が堂々と掲げられており、その記載内容によれば、
3つの風呂は決して湯量は多くないものの、それぞれ泉源の異なる50度前後の湯が湧いているようです。

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まずは少々ワイルドな小道の先にある、女性用と書かれた「青湯」へ。

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こちらは日中、女性専用となるそうですが、空いているときは男性もOKとのこと。
てなワケでお言葉に甘え、わずかに熱めの湯にまずはザブン!

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チロチロと流れ込む湯に、秘湯風情が一段とかき立てられます。

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続いて向かったのは、コンクリで囲まれ、ポリカーボネイトの波型屋根を載せただけの「薬師湯」
おそらく冬の休業期間中の豪雪に備え、簡単に屋根を外せる構造なのでしょうが、まるで掘立小屋のよう。
こんな鄙びた風情も山の湯らしく、これはこれでまたヨシかと。

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中はこぢんまりとした造りで、金属臭が感じられる湯はぬるめ。
やや圧迫感があるのが難点ですが、いつまでも浸かっていられそうで、ヤバイです。

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仕上げは、赤湯の顔でもある開放的な「玉子湯」へ。
…と行きたいところでしたが、なんと湯が満たされているのは奥側の半分だけ。
なんでも秋の訪れとともに、湧出口から遠い手前側の湯温が下がりすぎてしまうため、
跡継ぎ修業中の息子さんがアレコレ試行錯誤している最中とか、ウムム。
 ◇◇◇
まだまだ調整段階のようで、仕切りの奥側の湯は残念ながらかなり熱め。
ぬる湯好きにはちと厳しいところでしたが、せっかくなのでハシゴ湯を果たし、
大粒の汗を拭いながら、のんびりと宿へ。

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部屋に戻りほどなくすると、お父さんがランプが運んできてくれました。
 ◇◇◇
ここ赤湯温泉山口館は、電気が通っておらず携帯電話も圏外(そもそも固定電話すらない)という
まさに深山幽谷の地に建つだけに、明かりは基本的にランプのみ。
いわゆる「ランプの宿」としてひそかに人気のある、静かな山のいで湯なのであります。
(予約等の連絡は、六日町の自宅で待機する奥様と無線でやりとりしているとのことでした)

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ちなみにこの日の宿泊客は、我々2人のみ。穏やかなランプの明かりが照らすなか、
薪ストーブの前に、素朴ながらも温もりのある夕食が並べられていきました。


by nandakadays | 2013-10-14 18:00 | JOURNEY | Comments(0)
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