2013夏@雲ノ平[8]

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黒部平(黒部五郎小舎)のテント場は抜戸岳笠ヶ岳の眺めもよく、なかなか居心地よさそうです



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早速テントを張っていると、アレレ、いつの間にか眺望がなくなっている…。

 ◆◆◆
さて一転して、ここから先は【山の洗礼篇】になります。
薄暗くなってきたテン場は、あっという間にガス(霧)に包まれ、夕食を終えた午後7時には雨がポツリ。
次第に本降りになり、水を汲んだり、トイレへ行ったりするのも、思うようにならない状況です。
天気が下り坂であることは、ある程度把握していましたが、こんなに早く降り出すとは思いませんでした。
ラジオをつけても、明瞭に入るのはNHK東京放送局だけで、現地の天気概況が把握できませんが、
東北に大雨をもたらした前線が南下しているらしく、これから北陸地方は荒れると伝えています。
 ◇◇◇
フライシートを叩く雨音を聞いていると、気持ちが凹みますが、この先のことを考えなければなりません。
明日の行程を、狭くて薄暗いテント内で思い浮かべてみました。
 (1)当初の予定どおり、薬師峠まで歩きテント泊。
 (2)太郎平まで歩き、太郎平小屋に逃げ込む。
 (3)天候が大きく崩れそうなら、このまま停滞。
 (4)停滞もままならないほど荒れれば、黒部五郎小舎に避難。
 (5)これ以上の山中での宿泊を断念し、折立へ強引に下山。
天気が大荒れになるのであれば、(3)(4)しか選択肢はありませんが、
そうでない場合、なかなか判断が難しいところです。
 ◇◇◇
まんじりとしないままシュラフに潜り込みましたが、結局雨は降ったり止んだりの繰り返し。
午前2時に起床すると、濃霧ながら雨は止んでいるようなので、朝食もそこそこに、
テント内でパッキングを済ませ、夜明けを待ってテントを回収し、出発することにしました。
 ◇◇◇
しかし、夜明けを待っていたかのように激しい雨が降り出し、しばし待ちぼうけ。
小やみになったタイミングを見計らい、テントを慌ててたたんでいきます。

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撮影のため、ずっと首からぶら下げていたX10クンですが、濡らすワケにはいかないので、
ジップロックに入れ、荷物の奥の濡れにくい場所へ保管。そのため、この先の写真はほとんどありません。
濡れたテントでずっしりと重くなった荷を担ぎ、午前6時前に重い気分で出発です。

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雨具を着込んでの黒部五郎岳の登りは、思うように膝が上がらず大苦戦。
途中で雨具のズボンだけ脱ぎ、ペースを上げましたが、あたりは依然濃いガスに包まれたまま。
頂上直下の分岐から山頂まで往復しようかと思いましたが、眺望が望めないことははっきりしているので、
登頂はあきらめ(そもそもピークにはこだわっていない山旅なので)、先を急ぐことにします。
 ◇◇◇
黒部五郎岳から太郎平までは、視界のないなか、ひたすら長くてシンドイ稜線歩きでした。
幸い雨は強くならなかったものの、吹きつける風の強さは相当なもので、低体温症が懸念されるほど。
この日も特製梅干し弁当を用意しておきましたが、寒さのため立ち止まることさえままならず、
ハイマツの陰に隠れるようにしゃがみ込み、テルモスの紅茶を啜りながら、ビスケットをかじるのがやっと。
途中、足を滑らせた妻が、荷物の重さに体を支え切れず、木道からもんどりうって転げ落ちるという、
肝を冷やすようなアクシデントもありましたが、どうにかこうにか、太郎平までたどり着くことができました。

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頭が痛いのは、この先どうするかです。
時刻は現在午後2時半。無理をすれば8km先の折立へと下山できなくはありませんが、
荷物の重さや道の悪さ、何より残された体力のことを考えると、日没に間に合うか微妙なところです。
かといって、濡れネズミのまま、今さら薬師峠で濡れたテントに潜り込む気分でもなく、
太郎平小屋にお世話になるのが無難なのでしょうが、それはそれで癪で、簡単には決断できません。
結局、無謀を承知で、強引に折立へ下ることにしました。
 ◇◇◇
結論から先にいえば、健脚ならまだしも、我々ヘナチョコ隊にとっては無謀でした。
歩き始めてほどなくすると雨脚が強くなり、登山道は泥の川と化していきます。
当然ペースはガクンと落ち、薄暗くて急傾斜の樹林帯では足元もおぼつきません。
それでも休みなく歩き続けましたが、「そろそろヘッドランプを出さないと」と思った午後6時25分、
とにもかくにも気持ちだけは折れずに、やっとこさ折立の駐車場に戻ることができました。
 ◇◇◇
と、ココで余韻に浸ったり、記念撮影をしたりと、のんびりくつろげないのがツライところ。
なぜなら有峰林道は夜間通行止めなので、午後8時までに料金所のゲートを抜けなければなりません。
ま、4泊分+αの食料はあるので、折立でマルタイラーメンでも啜って夜を明かしてもいいのですが、
せっかくここまで来たので、できれば下界へ脱出したいという、持ち前の(?)スケベ根性を抑えられません。
寝不足と疲労を考えれば、結果として、これもかなり無謀でした。
走り始めて間もなく、ひどいどしゃ降りとなり、街灯もないクネクネの峠道を走ること2時間。
眠気で朦朧としながらハンドルを握り、やっとの思いで岐阜県飛彈市神岡町にたどり着いたのであります。

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August 21, 2013@岐阜県飛彈市神岡町・道の駅宙ドーム神岡

 ◆◆◆
一夜明けました。車の中で朝食を食べながらNHKラジオ富山放送局に周波数を合わせると、
昨夜は一帯でかなりの降雨があり、有峰林道は朝から全面通行止めとのこと。
前日の我々の甘い判断を反省しつつも、もしあのまま山中にとどまっていれば、
激雨でテントが水没したり、あるいは折立で足止めを食らっていたかもしれないので、
こうしてコンビニで買ったパンをかじることができ、心底ホッとしているというのが正直な気分です。
 ◇◇◇
今回の山旅を支えてくれたLOWA TAHOE PRO GTX WXLGARMONTネブラスカGTXは、
いずれもくたびれた風情になってしまいましたが、マメができたり、足の皮がむけることもなく、
また出発前に撥水剤を塗布しておいたこともあって、雨が靴の中にまったく沁み込まないなど、
秘められたポテンシャルを存分に発揮してくれました。いやはやアッパレであります。拍手!! 【了】


by nandakadays | 2013-08-29 08:00 | TREKKING | Comments(2)
Commented by まるどん at 2013-08-30 00:13 x
山旅を一緒に楽しませていただきました!でも最後の章はどうなるかと思っちゃった。読んでるのだから無事だとは分かっていても心配したじょー。転んでも、もう歩けないなんて弱音はおふたりともはかないのでしょうね♪ とにかく無事お帰りよかったです。拍手!!
Commented by nandakadays at 2013-08-30 06:58
ご笑覧感謝。一緒に気を揉んでいただき、ありがとうございます(笑)
思えばまるどん嬢と机を並べていた1993年以来、丸20年ぶりのテン泊縦走でしたが、
改めて、山歩きの楽しさも厳しさも味わうことができました。
にしても、北アルプスは大きい。懲りずにまた出かけたい気分です。
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